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警察会談~報告書に載らなかった怖い話

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「警察官は心霊現象に頻繁に遭遇する」もし、このような話を聞いても、眉唾ものとして受け取ったほうがいいだろう。

私は某県警において、やく10年間鑑識として勤務していたが、そのような現象に遭遇したことは1度もなかった。

毎日のように人が亡くなった現場や、犯罪現場に臨場していたが、私の前に現れるのは山積みの書類ばかりで幽霊をみたことは・・なかった。

Contents
  1. しかし、不思議な体験をしたという警察官は、わずかだが存在していた。
  2. 少しずつ反響をいただき、今では全国の警察官から連絡がくるようになった・・
  3. 崇高な目的があったわけではないが、警察怪談を世に出すことで
  4. 怪談その1・・・巡査部長と暴走族の話
  5. 当直勤務とは別に交通課は当番制の取り締まりを毎晩していた
  6. 無線指令の場所から予測し、隠れて待ち構えていたところ。。。
  7. その原因は一台のバイク・・
  8. 捜査を進めていく中で、少年を取り巻く環境がみえてきた。。。
  9. そんな少年が唯一居場所を見つけたのは暴走族だった。
  10. 少年にも、Bさんのそんな気持ちが伝わったのか。。
  11. そんなある日、少年は宿舎を訪ねて来た。
  12. さすがにこの状況を見過ごすことはできない
  13. その日以来全く少年は顔をみせなくなった。
  14. 血の気が引き、視界から色が消えていくような感覚になった。
  15. 引いていたはずの血の気が、ふつふつと上がってくるのを感じた
  16. そんなある日、交通課がかかえる(Sスパイの隠語)から、たれこみがあった。
  17. すぐに体制を整えようとした、その時ー
  18. その後、度重なる道路交通法の改正により、取り締まりはさらに強化されると
  19. 怪談その2~指し示すもの
  20. これは私が小規模な警察署に努めていた時の話だ。
  21. このH刑事課長、年齢は40代で課長職としては、まだ若い
  22. いやあ、どうですかね?いるようなあ、いないような半信半疑ですかね?・・・
  23. そんな二人が多忙な日々を、送っていたある日
  24. 妻が!妻がまだ中にいるんです!助けてください!お願いです!
  25. 数時間が立ち、火災は鎮圧状態になった・・・
  26. うつろな目を男性は刑事の質問に、ゆっくりと答えた。
  27. 男性の証言どうり居間があった付近が出火元と推測された。
  28. 代理、壁を壊すのは、やめたほうがいいと思います・・
  29. Sさんは口ごもりーうつむいて少し考え込んだ後に答えた。
  30. 一切動揺するような素振りは見せず、まっすぐに警部補の目を見たままSさんは答えた
  31. そのうち瓦礫の下から真っ黒に焼け焦げた妻の遺体が見つかった。
  32. 単なる人家火災ではなく、事件性があるものと、捜査方針を転換した。
  33. 怪談その3・・H岳の神通力
  34. 警察官は山に入ることが多い仕事である
  35. これは、そんな山深い地域の駐在所に勤務していた警察官が体験した不思議な話だ。
  36. しかし、行ってから驚いたのがとにかく自然が美しいことであった。
  37. 犯罪などは滅多に起きない平和な場所
  38. 交番や駐在所の地域警察官提出する書類が多い
  39. H岳において山岳事故、現在入電中
  40. Yさんも慌てて残りの書類提出を済ませ、彼らの後を追った。
  41. 滑落した男性は、登山サークルにはいっており妻とサークルメンバーで登山に来ていた。
  42. Yさんは別の駐在所からきている後輩の巡査部長に状況を聞くため近づいていった。
  43. その後方針が変わり、妻を自宅まで送り届けたのは遅れてやってきた本署の自動車警ら係のパトだった。
  44. だが、滑落事故の現場は、今回遭難事案のがあった登山ルートとは全く違う場所であり、地形から考えても付近に遭難者がいるとは考えにくいはずである
  45. 二人がほんの少しの音も聞き逃さないようにミニパトの窓を開け、ゆっくりと走行していると
  46. 今聞こえましたよね?声!!
  47. Yさんたちはすぐに臨床尋問を開始した。
  48. しかし、どうにも腑におちない
  49. いざミニパトに乗ろうとすると警電がなった

しかし、不思議な体験をしたという警察官は、わずかだが存在していた。

私は現職時代に知り合った数多くの警察官に「なにか怖い体験談を持っていないか?と

質問するのが習慣になっていた。あまり、そのような質問をすることがない組織で、そういうことを言う私は、変り者と思われていただろう。

私は収集した体験談を数年前からユウチューブに「警察怪談」として投稿している。

少しずつ反響をいただき、今では全国の警察官から連絡がくるようになった・・

「今まで誰にも言えなかった話があるんです。。。」

組織内では打ち明けられなくとも、その思いを吐露してくれ、私を信用してくれる警察官が、増えていること大変うれしく思っている。

ここにあげる警察官の姿は、格好のよいものではない。

泥臭く疲労感のある人間味のある日常が描かれている。

「警察が身近にかんじられるようになった」

「たいへんな勤務をしていることが初めてわかった。」

などの視聴者の感想が届くようになった・

崇高な目的があったわけではないが、警察怪談を世に出すことで

結果としてこの警察怪談を世にだすことで、、血と汗を出しながら、奮闘していた、あの日々が報われる思いもあるし、今現在、第一戦で奮闘している警察官への

わずかばかりのねぎらいになれば、光栄だ。

一般市民では知りえない警察業務にまつわる奇怪な話だけではなく、日夜治安維持に尽力している警察官の悲哀も感じてもらえれば、幸いである。

怪談その1・・・巡査部長と暴走族の話

詩集の入った特攻服を身にまとい、ロケットカウルや3段シートといった、改造単車にまたがって無謀な運転を繰り返す「暴走族」という集団と警察は長年にわたり攻防を繰り広げてきた。

1982年が暴走族構成員数のピークであり当時4万人を超えていたという。

この話は暴走族ピーク期である1980年頃、交通取り締まりの最前線に立っていた警察官Bさんが体験した話である。

Bさんは当時交通指導を担当する係に所属しており、違反の取り締まりや交通事件捜査、そして暴走族の取り締まりを専門としていました。

暴走族は最盛期を迎えており、そのとりしまりが警察署の最重要課題として掲げられていた、毎晩のように交通課はと特別取り締まりを行っていたそうだ。

当直勤務とは別に交通課は当番制の取り締まりを毎晩していた

Bさんが当番であった、ある日の夜、いつものように同僚と捜査車両に乗って、市内を走行していると、午前一時を過ぎたころに警察署から無線指令が来た。

交通捜査移動局、改造バイク数十台が集まって暴走行為をしているとのことである。

服装や持っている旗からチーム名は「ロードスター」と思われる。信号無視などの交通違反を繰り返している模様、至急現場方向にむかえ!

 このロードスターという暴走族は、地域最大級のチームで構成員は、ほぼ全員が10代の少年であり、暴走行為だけではなく、暴行や障害、恐喝、窃盗といった犯罪行為であっても

お構いなしに行う荒くれ集団だった。

Bさんの警察署管内では複数の暴走族がいたが、このロードスターを最重要取り締まり対象としていたそうで、いかにして壊滅させるか頭を悩ませていた。

無線指令の場所から予測し、隠れて待ち構えていたところ。。。

通りの向こうから微かに音が聞こえて来た。

何重という数の爆音マフラーに改造ホーン~それらが折り重なり、まるで地鳴りのように響き始め、そして数えきれないほどのヘッドライトがまわりを照らし始めた。

Bさんたちが乗った車両の前を次々と通りすぎていく改造単車。指令のとおり

走ってくる暴走族は最重要取り締まり対象のロードスターだった。

「クソガキが調子乗りやがって。。。」

騒音を撒き散らし、天下の公道を我が物顔で走り回る集団を見ているだけで、はらわたが煮えくり返る思いになる。

Bさんは捜査車両をすぐさま緊急走行させて追跡を開始し、暴走族たちに停止を求めた。

もちろん素直に彼らが止まるわけもなく、集団はそのまま暴走行為を続けた。

あきらめることなく、追跡を続けるBさんたち。

だが暴走族の先頭集団とは距離が離れる一方であった。

その原因は一台のバイク・・

低速走行の蛇行運転でBさんたちの前に立ちはだかり、進路妨害をしうてくる一人の暴走族のせいで思うように追跡ができなくなったのである。

これはいわゆる「ケツ持ち」と言われる役目である。

後方から追跡してくる警察車両に対し、蛇行運転などの方法で阻み先頭集団を逃がす目的で行われるのだ。

隙をついて追い抜こうとしてみたが、すぐさま捜査車両ギリギリ前に滑り込んできては妨害を繰り返す。

なかなか良い腕だ。Bさんたちは先頭集団は無理に追わず、目の前のケツ持ちを、何とかして捕まえる方針に切り替えて追跡を続けていたところ

ある路地で横から一般車両がケツ待ちの目の前に飛び出してきた。

あわや衝突事故になると思ったが_またもや見事なハンドルさばきを見せ、飛び出してきた車を回避したケツ待ち暴走族。

しかし、それによりバランスを崩してしまったようで、道路上をすべるように転倒してしまった。

「いまだ!!」

Bさんたちはそうさ車両からあわただしく降り、走って逃げようとするケツ持ちをおさえこんだ。興奮冷めやらぬ様子でギャアギャアと喚き散らしては抵抗していたが、なんとか制圧・確保することに成功

顔や体つきを見たところ、まだ未成年と思われる少年だった。

ひとまず少年は本署に連行することになり、道交法違反容疑としてBさんが取り調べ、担当官となった。

捜査を進めていく中で、少年を取り巻く環境がみえてきた。。。

取り調べは犯罪事実を聞き出すだけではなく、少年の身の上に関することも調書にするのである

少年はおせじにも良い環境に育ったとは言えなかった。幼少期に母親が家を出て行ってから、父親と二人暮らし、その父親は働いてこそいるが、酒とギャンブルに溺れる自堕落な男

最低限の衣食住を少年に与えて、あとは放任状態ということが分かってきた。。。

 

そんな少年が唯一居場所を見つけたのは暴走族だった。

「単車に乗って走っていると楽しい気分になるー生きてる実感が湧く」

少年は取り調べの中でBさんにそう話したそうだ。

少年を検挙した当初は「このクソガキ、社会の怖さを教え込んでやるからな」と息巻いていたBさんだったが、彼の境遇を聞き、ときおり雑談のの見せる笑顔や、素直な態度をみるうちに

意外と普通の子供じゃないか…どうにかしてまっとうな道を歩ませてやりたいなあと強く思うようになっていったそうだ。

少年にも、Bさんのそんな気持ちが伝わったのか。。

何かといえば、Bさんに相談してくるようになり、一連の処理が終わった後も時々会って

いろいろと話をするような間柄になった。

宿舎に少年を招いては飯を食わせたり、おおっぴらには言えないが「俺の家の中だけにしろよ!外では絶対するなよ!」と言って二人で煙草や酒をたしなむことも、あったと言う。

少年が心を開いたのも、こういったBさんの、あけすけな人柄や、仕事だからいう理由ではなく、人として付き合おうとしてくれる姿勢が見えたからこそであろう。

狭い警察宿舎でいろいろと話をしているうちに、少年は胸の内を吐露し始めた。

実は暴走族をやめたいと思っているが、先輩が怖くてやめられない。暴走族をやめて建設会社で働きたいー普通に生きたいー

そうBさんに打ち明けたようだ。

これまで交通畑で勤務してきたため、非行少年に対する適切な助言がわからなかったBさんだったが、それでも力になれないかと少年課の刑事に相談したり、行政に連絡したりと奔走していたそうだ。

そんなある日、少年は宿舎を訪ねて来た。

その顔はあざだらけで、至る所が腫れあがった痛々しい状態だった。

驚いたBさんが理由を聞くと、暴走族の先輩数人から

「こいつ最近マッポとつるんでいるらしい、俺らのことチクってんじゃないのか」と言われリンチされてしまったと言うのだ。

平気な顔をしてひょうひょうと話す少年の表情 無理をしているのは火を見るよりも明らかであり、こちらに心配をかけないようにと、強がっている少年を見ていると頭に血があがってきた。

「そいつらを傷害罪でパクろう!誰にやられたのか証言できるか?とりあえず病院に行って診断書をとるぞ!」

さすがにこの状況を見過ごすことはできない

少年がここに来たのも助けを求めているからだろう。このまま一緒に病院に行った後で署に行って被害届を提出させてーそう考えを巡らせていたところ、思いもよらない言葉が少年の口から飛び出て来た。

「…仲間を売ることはできません。これ以上疑われたくないから、もうここに来ません。

ありがとうございました。お世話になりました。。。

それだけ一方的に言うと引き留めるBさんを振り切って、少年は帰っていった。

その日以来全く少年は顔をみせなくなった。

Bさん日中に勤務の間を縫って少年の自宅に様子を見に行っても、そこに姿はなかったそうだ。

しばらくたったある日、隣接警察署の交通課からBさんあてに電話がはいった。

「お疲れ様です、申し訳ない。○○という少年の調べをB部長が以前行っていたと思うんですけど、その時の身上調書の写しや、その他のもろもろいただけないかと思いまして」

「あいつ、今度は別の署でつかまったのかな・・・・・?」

「はい、夜中にロードスターの連中がうちの地域で走り回ってたんですけれど。。。

けつもち、やっていた、そのガキが事故って死んだんですよ。

 

血の気が引き、視界から色が消えていくような感覚になった。

交通課員の話によると転倒したときに頭部を強打したことが死因らしい。

事故直後は意識不明状態で病院に搬送されたらしく、何とか踏ん張っていたのだが、夜が明けた後に死亡が確認された。ということであった。

交通課の遺体見分では、本件の死亡事故とは無関係の怪我が体中に多数認められたらしく事故以前についたと思われる

 

打撲痕で両目が腫れており、それにより視界が悪くなり運転操作を誤ったのではないかと言う推察をしていたと言う。

その話を聞いたとき、顔中にアザを作って自宅を訪ねてきたあの日のことを思い出した。

「あの後もまだ殴られていたのか・・・」

引いていたはずの血の気が、ふつふつと上がってくるのを感じた

電話を終えた後,すぐさま、その警察署にいる知り合いの刑事に連絡を取り

「あきらかに暴行された形跡があるのだから、事件の可能性があるとして、捜査をすべきではないか」そう訴えたのだが、いまさら立証はできない。

殺しでもない族同士の喧嘩をいちいち事件果していたら、きりがない_そうあしらわれてしまった。

そうしてこの1件は「暴走族の一人が転倒して死亡」と当時では特別珍しくない、地方Newsの一つとして流されていった。

少年の死後、こころにポッカリと穴が開いてしまったような、虚無感におそわれ

うわの空になっていたBさんであったが―少年を苦しめ、リンチをくわえ、結果的に死に追いやった暴走族の連中に対する怒りの炎は、じわじわと燃え上がり続けていた。

そんなある日、交通課がかかえる(Sスパイの隠語)から、たれこみがあった。

それは近日中にロードスターが大規模な集会を開く予定があり、集会後は一斉に暴走を行う。との内容だった。

願ってもない情報を得た警察側 署長指揮により、複数の検問を事前設置して一斉検挙作戦を敢行することになり、当日はBさんも検問場所の一つで、待ち構えることになった

一切検挙作戦当日タレコミどうり、ロードスターは集会後にいくつかの集団に分かれて走り出し、その中の一集団がBさんの待つポイントへと走ってきたそうだ。

Bさんたちは迫りくる集団に、ひるむことなく、物陰から停止灯を手に飛び出し、体を張って暴走族を停車させ確保しようとした。

現在では受傷事故防止のために絶対やっていけない方法であるが、昭和の時代を知る先輩方の話では、当時このような無茶をするのは、当たり前のことだったそうだ。

集団の大部分は警察官の間をすり抜けて行ったのだが、何人かその場で転倒してしまう者もいた。だが、転倒した暴走族はすぐに起き上がると蜘蛛の子を散らすように方々へ走り出した。「止まれ!!」

そう叫びながらBさんも後を追って走り出したが、足がもつれて転倒してしまった。

すぐに体制を整えようとした、その時ー

倒れている周囲の地面が明るく照らされた。。。それは後方から急速に、近づいてくる車のヘッドライト。

族の車が追跡妨害のため、検問所に、まっすぐ突っ込んでくる姿であった。

「あ…轢かれる…」

その時Bさんは襟元をすごい力で引っ張られた。

体が後方に吸い込まれるように感じながらも、とっさに振り返った。

Bさんの襟元をつかんでいたが、一瞬だけ見えた、その横顔は間違いなくー事故で死んだあの少年だった。

不思議とエンジン音は、全く聞こえず無音だった。

次の瞬間、道路わきに転がり、真横を猛スピードで族の車が走り去った。

しかし走りさったのは車だけで、自分を引っ張ったバイクの姿は何処にもなく、こちらに慌てて、駆け付けてきた交通課の同僚たちにもバイクを見たか聞いたのだが、

バイクをを見たものは、誰一人としてバイクを目にしたものはいなかった。

その後、度重なる道路交通法の改正により、取り締まりはさらに強化されると

ロードスターは何度も検挙され、構成員も減少していきーそして時代の変化に伴って消滅していった。

この話を私に教えてくれた当時、Bさんは定年で退職直前という年齢であったが

いまだに少年の命日には、お墓に行き、酒とタバコを備えて近況報告をしていると言っていた。

「俺を助けてくれたのは間違いなく、あいつだった・・・・俺はあいつを救うことができなかったのに…今でも申し訳なく思っている。

でも、私は思うのだ。少年はBさんと出会えたことで、心の安寧を得ていたのだろうと、すさんな生活の中に愛情や信頼という彩りが、うまれていたのだろうと

長い月日はたったが、語り合っているはずの二人の間には、狭い宿舎の中で笑いあった、あの時間が今もそこに、流れているのだろう。

怪談その2~指し示すもの

日本の警察においては捜査にオカルトが持ちいられることはない。

法治国家において司法が何よりも重視されるのは法である。確証のないオカルトを持ち込んで、人を裁くべきではないと多くの警察官が考えるだろう。

これに関しては私もそう思うものの、一人だ。

警察は個人を操作し逮捕拘束する権限が与えられているからこそ、法という明確な規定にのっとって、職務を遂行すべきであり、霊能力者や、霊媒師と言われる人々の裏取りのできない、証言だよりで検挙を行うようになってしまったら大問題である。

だが過去事件捜査において、オカルトが用いられたという話は全くないのかと言われればそんなことはない。

そのような話を現役時代に聞いたことがあるのだ。。。

これは私が小規模な警察署に努めていた時の話だ。

その日私はH刑事課長と二人で選挙事件捜査のため捜査車両に乗り込み、ある場所で張り込みをしていた。

基本的には刑事課長は本署のデスクに座って指揮を取取るのが普通だ。

当時の私のような一般捜査員と、ペアを組んで現場捜査に走り回ることはないのだが、小規模署で人数が足りず、、またH課長自ら「現場をこの目で見たい」と言い出したこともあり

その日は珍しく私と二人で張り込みをすることになったのだ。

このH刑事課長、年齢は40代で課長職としては、まだ若い

物腰が柔らかいため、気軽に話しやすい雰囲気を持った課長だった。、べろべろに

それ故に張り込みをしている車内は、雑談が絶えなかった。

二人とも捜査対象から目を離すことはなかったが、途切れることなく雑談をしていたところ

「なあ、お前は「幽霊」とか、いると思うか?」H課長がいきなり聞いてきた。H課長からオカルトめいた話が出てくるとは思わなかったので、この時は大変驚いたが

ある程度、信頼関係を築けた人には「何か怪談を持っていないか、聞くようにしていたので」幹部クラスの人に聞くのは、なかなか難しいのだ。

いやあ、どうですかね?いるようなあ、いないような半信半疑ですかね?・・・

そう返したところ

「うん、俺もな、そんな感じなんだよ。…ただな、本当に要るのかもなと昔、思ったことがあってさ」

H課長は煙草に火をつけ話を始めた...

H課長は20代のころ、とある警察署の若手強行犯刑事として勤務しており、Sさんという先輩刑事とペアを組んでいたそうだ。

このSさんは年齢が30代、刑事課内では比較的若い方で、真面目で明るく気配り上手な性格であったこともあり、多くの署員から好かれていた。

Hさんとは年齢が近いこともあってか息が合い、二人して何日も休まずに張り込みをして被疑者を捕まえたりべろべろになるほど、夜の街で酒を飲み明かし、店内にいたヤクザと乱闘騒ぎを起こしたり無茶をしつつも

調書作成や検死といった業務面においても丁寧にHさんにいろはを教えてくれる.公私ともに頼れる先輩だった。

そんな二人が多忙な日々を、送っていたある日

警察署に無線室より無線指令がきた。「本部よりA警察署○○町における人家火災現在、入電中。隣の家から、火がでている。

夫婦が住んでるはずだが呼びかけてもでてこない。と付近住民からの通報。現在も炎上中とのこと。至急現場に向かい、負傷者の確認、および現場保存‥、初動対応にあたれ

指令を受けた刑事たちは、すぐさま現場に向かいHさんたちも飛び出していった。

物々しいサイレンの音を響かせながら現場には幾台もの消防車や救急車、パトカーが駆け付け、普段物静かな住宅街は緊張感に包まれていた。

その喧騒の中心に激しく燃え上がる炎に包まれている一軒の住宅があり、その前には今にも炎の前に飛び込まんとしている男性がいて、こう叫んでいる。

妻が!妻がまだ中にいるんです!助けてください!お願いです!

先着していた駐在所の警察官が必死に男をとめながら

「今、あんたが入ったら、あんたも危ない」と説得していた。

「まだ中に人が!?」それを聞いたHさんは炎の中に、飛び込もうかと考えたのだが、あまりにも炎の勢いが、強すぎて近づくことができず消防隊の消火活動を見守ることしかできなかった。

数時間が立ち、火災は鎮圧状態になった・・・

全焼したことにより、屋根は崩れ落ち現場は瓦礫の山、いったい何がどこにあったのか、わからなくなっていた。

そして叫んでいた男性の妻とは連絡が取れない状態であり、瓦礫のの下でなくなっている可能性が高いと判断されていた。

男性は放心状態でうなだれていたが、それでも刑事は当時の状態を聞き出さなければならない。目撃された出火状況と男性の証言、家屋内のものの配置と燃焼状況など様々な点に矛盾点はないか確認しなければならないからだ。

うつろな目を男性は刑事の質問に、ゆっくりと答えた。

私はスーパーに行っていた。妻は居間で寝ていたんです。火の気と言えば・・・

今の横に仏壇があり、私が出かけるときにも線香とローソクに火が付いた状況になっていたので、それが倒れたのかもしれない・・

と苦しそうな表情でそう証言し、そのほかにも、こんなことを言ったそうだ。

「私たち夫婦は子宝にめぐまれず、苦労していたのだが…去年妻がやっと妊娠した。だが結局、流産してしまい‥それ以降、彼女はうつ病のような状態になってしまっていた。

居間で横になっている妻に声をかけようとしたら、いつも服用している睡眠剤を飲んで寝ているようだったので、起こさないで買い物に行って帰ってきたら・・家が燃えていた・・・

男性の証言どうり居間があった付近が出火元と推測された。

まだ現場全体がくすぶっている状態であり、所々でで炭化した木材が赤々と輝いて熱をおびている。さらなる延焼を防ぐために、消防団が残っている柱や壁をくずしはじめ

Hさんら刑事たちも瓦礫の除去や妻の捜索に向けて準備をしていたところーSさんの様子がおかしいことに気が付いた。

真っ黒な瓦礫の中を見つめたまま微動だにしていなかったのだ・・消防団の人たちが刑事たちにむかって「すみませーん、こっちまだ燃え出すかもしれないんで崩してもいいですかー?

それを聞いた現場責任者の課長代理である警部補が

「わかりましたー出火元付近の仏間や居間はなるべく残すようにしてください!」と返事をし、消防団が居間以外の壁などを壊し始めたその時ー身動き一つしなかったSさんが急に警部補に駆け寄っていった。

代理、壁を壊すのは、やめたほうがいいと思います・・

「どうしてだ?また、火の手が上がるかもしれないから、ここは任せよう。完全に消化してしてもらわんと、俺たちも入れないし、仏さんも見つけられんぞ」

Sさん少し声をひそめながら

「いや、これは殺しです。現場はこれ以上壊さないほうが良いです。」

殺しという言葉を聞いた途端ー警部補は眉間にしわを寄せ厳しい目つきになり、Sさんをにらみつけるように、顔をぐっと近づけた。

「なんだ、どうしてそう思う?」

Sさんは口ごもりーうつむいて少し考え込んだ後に答えた。

「現場の真ん中に女性の幽霊が立っています。おそらく亡くなっている妻です。ものすごい形相であそこに座り込んでいる夫をにらみながら指を差しています。

あの顔はただ事ではない、殺しに違いありません。現場をこれ以上壊さないように消防にいってください!

すぐ横で一部始終を見聞きしていたHさんは驚きをかくせなかった。

これまでオカルトめいたことなんて言ったことがないSさんがまさか事件現場でーしかも課長代理にそんな冗談を言うなんて・・・

課長代理に、そんな冗談を言うなんて…課長代理の警部補はとにかく厳しく怖い人であると警察組織の中でも名の知れた人物であり、そんな人にこんな冗談を言ったSさんは

殴り飛ばされるんじゃないかと横でひやひやしていたそうだが、警部補は何も言わずに、ただSさんの目をみているだけであった。

しばらく沈黙が続いた後「お前、見えるのか?」「はい」

一切動揺するような素振りは見せず、まっすぐに警部補の目を見たままSさんは答えた

すると警部補は踵を返し「すみませーん、やっぱり崩すのやめてくださーい!」

極力広い範囲の現場保存をししたいので、ご迷惑をおかけしますが火の出そうな個所に弱めの放水だけで対応お願いしまーす。」と、消防に向かって叫んだのだ。

「え!?信じたのか?あの鬼の課長代理が?」Hさんは、とても信じられなかったそうだ

現場捜査において何よりも重視されるのは五感・五官の作用を使い、ありのままの状況を細大漏らさず観察し判断することである。

この鉄則から外れる「幽霊」ということを言い出す捜査員は見たことがない。

そのうち瓦礫の下から真っ黒に焼け焦げた妻の遺体が見つかった。

刑事たちは検死チームと火災見分チームに分かれ、遺体と現場の同時進行で捜査された。

検死チームによると遺体は家屋の中の落下物により、体の一部が激しく損傷、炭化していたが、生前つけられたとみられる不自然な傷はなく

皮膚の紅斑や鼻口腔の泡沫漏出も認められたー明らかに生体反応であり、生きた状態で焼かれたことが判明したとのことだった。

一方、HさんとSさんは現場の火災見分を行っていた。

刑事たちが黙々と捜査をしている中、またSさんが代理に駆け寄り

「この下に何か、、あるそうです。…霊がここを指さしているのが見えます。」とこっそり伝えている。そこは階段下に設けられていた物置だったと言われている場所で、ドロドロに溶けた灯油のポリタンクが出てきたのだ。

単なる人家火災ではなく、事件性があるものと、捜査方針を転換した。

遺体を解剖し詳細に調べたところ多量の睡眠薬が体内から検出された。

夫は当初、自分の関与を否定していたが

長期間にわたる執念の捜査により、証拠が固まり犯行をすべて自供し逮捕された。

死亡保険金を受け取った後に、不倫相手と再婚するためという、なんとも身勝手な犯行理由であった。

怪談その3・・H岳の神通力

古くから山岳信仰は根付いている。人種や国を問わず我々人類は雄大な山々に畏敬の念を念を抱いてしまうものなのだろう。

私も登山を趣味としているが、人里離れた山深い森の中を歩いている時は、まるで異界の中をさまよっているかのように思えてしまう。

人の力など到底及ばない大自然の真っただ中にいることが、快感であり、そして同時に本能的な恐怖を感じてしまうのだ。

警察官は山に入ることが多い仕事である

行方不明者捜索や救助活動といった人命救助だけではなく、発見された遺体の回収、窃盗事件捜査など様々なケースにおいて山中における活動をしている。

また事案発生時だけでなく、そういった山深い地域には駐在所の警察官が在住して、治安維持活動を行っているのだ。

人口が少ない地域であるから事案発生数は多くない。しかし都市部の地域からはあまりにも離れている場所であるため、万が一事件が発生して、都市部から臨場するには、時間がかかりすぎる。

そのため、そういった地域には、住み込みの警察官を駐在させ、地域に根付いた活動を行っている。

これは、そんな山深い地域の駐在所に勤務していた警察官が体験した不思議な話だ。

この話の体験者であるYさんは某県警の現役警察官

学生時代から外国語が堪能だったこともあり、新人として交番勤務をしていた時に外国人の取扱い事案が発生した際には刑事課に呼ばれて、通訳を任されていた。

その腕をかわれて捜査の道へと入り、それ以降は主に盗犯系の刑事課勤務をしていた。

ある年に辞令で次の警察署へと移動を命じられたのだが、なんとそこに書かれていた配置先は山奥にある駐在所であった。

今まで住んでいたにぎやかできらびやかな都市部を離れ、家族と共に引っ越してきたのは「H岳」と呼ばれる山の中にある、とある集落だった。

この「H岳」はひとつの山ではなく、いくつかの山々がまとまっている山脈地域一帯の総称だった。とんでもない山奥のため、交通の便は最悪で住民も高齢者ばかりのいわゆる限界集落だった。

しかし、行ってから驚いたのがとにかく自然が美しいことであった。

都市部から引っ越してきたギャップもあったのかもしれないが、空気は澄んでいた上手いし周囲を囲むH岳の山々の素晴らしい風景にも目を見張る。

駐在所の前には川が流れており、川底が鮮明に見える透明度である。

住民の方々もよい人ばかりで、若い駐在所員が赴任してきたことを心から喜んで歓迎してくれた。

犯罪などは滅多に起きない平和な場所

そんな良い環境のおかげですぐに駐在所勤務も問題なくこなせるようになり、田舎に行くことを嫌がっていた子供たちも、いつの間にかすっかり慣れてH岳の集落での生活を楽しんでいる姿を見て、改めてこの土地に赴任して来てよかったと思うようになっていたそうだ。

駐在所赴任から二年近くたったある日。

その日は書類の提出をするため、久しぶりにふもとの町に降りて警察署へと出向いていた。

交番や駐在所の地域警察官提出する書類が多い

日々の活動を行う中でも、各種報告書や司法書類を作成しなければならない。

忙しい交番の場合、泊り勤務一日行っただけで、翌日各課に提出する書類は箱いっぱいになっていることもザラだった。

Yさんの駐在所から警察署まではH岳のグネグネとした細い道を通って一時間以上かかる距離があり毎日提出に行くことはできないため、書類の提出は、ある程度まとまった時に行っていたのだ。

署内の各課をまわりながら書類を提出していき、久しぶりに会った交通課の若手と少し世間話をしていた時、交通課に設置された県内系無線からYさんの警察署に向けて指令が流れた。

H岳において山岳事故、現在入電中

登山中の60代男性が斜面から滑落した。

登山仲間が同男性に呼びかけるも反応がなく呼吸もしてない模様。消防本部から現在レスキューが臨場中。

H岳北側登山口付近で、通報者らが待つ、同所にPMを臨場させ関係者からの事情聴取、現場保存並びに詳細な見分を行い事件性の有無を判断せよ。

自分の駐在所が管轄しているH岳で発生した山岳事故だ。

H岳は標高は高くないのだが、ルートによってはかなり高低差が激しい箇所や岩場や鎖場をよじ登らなくてはならない場所もあるため、玄人も登山を楽しむことの出来る人気の山であった。それゆえ、時折このような山岳事故が発生していたのだ。

無線が終わってすぐに署の指定山岳救助隊員達や捜査員たちが車両に飛び乗りH岳の登山口へと緊急走行で向かって行く。

Yさんも慌てて残りの書類提出を済ませ、彼らの後を追った。

登山客でにぎわう山が管轄地域内にある警察署では定期的に山岳救助訓練をおこなっている。警察の山岳救助隊と聞けば、そのためだけに結成された完全な専門部隊を思い浮かべる人も多いと思うが、各都道府県警によってその充実具合には差がある。

日本アルプスなど日本を代表する山岳地帯を管轄する県警には専従の救助隊員がいるが、そういった規模が大きい山岳地帯が管轄地域にない県警では

普段には機動隊員であったり警察署で通常業務をしている警察官が兼任で救助隊員として指定されていることが多い。

Yさんがいた警察署も同様であり、山岳救助隊に任命されていた警察官たちも自分の業務を一時中断し慌てて現場へとむかっていた。

滑落した男性は、登山サークルにはいっており妻とサークルメンバーで登山に来ていた。

登山道の中腹辺りの岩場を登るルートを進んでいた時、男性がよろめき足をすべらせ数メートル滑落し、その際に岩に全身を強く打ち付けてしまい動かなくなった。

先ほど消防によって男性は救急搬送されていた。

臨場途中に地域デスクから来た連絡でその状況を知ったYさん

デスクはさらに、男性の妻を自宅まで送り届けてほしいと指示をだした。

本来、現場では妻や登山仲間から事情聴取を行い、滑落現場まで案内してもらわなければならない。

だが夫が意識不明で搬送されたのだから、その病院に行きたいと

妻が申し立てるのも当たり前のことだ。

そのため、妻から優先して聴取し、それが終わったら妻だけは搬送先の病院に行ってもらうことにしたのだが、彼女たちは仲間全員で,1台の車に乗り合わせて登山に来ているため

妻が一人で帰宅するための手段がないという。

そこでYさんに白羽の矢がたったのであった。

ほどなくして登山口に到着すると、消防の車両や捜査車両、応援で駆け付けた付近一帯の

駐在所のミニパト赤色灯が光り、普段静かな山中は物々しいふんいきになっている。

Yさんは別の駐在所からきている後輩の巡査部長に状況を聞くため近づいていった。

すると、その後輩が乗ってきた後部座席に当事者であろうと思われる60代くらいの男女が乗っているのが目に入った。

おそらくこの人たちが滑落した男性の登山仲間なのだろう。こちらに気が付いた後輩が駆け寄って喋りかけてきた。

「お疲れ様です。代理から連絡来ました?自宅まで送る件ですけど」「うん聞いてる・聞いてる。大丈夫だよ、奥さんから話を聞くのは終わったの?」

「一応終わったみたいですね。たぶん捜査員の誰かが病院に行って奥さんから追加でいろいろ聞くんだと思いますけどね。私達この後、滑落した現場に案内してもらって見分ことになっているんですよ」

「そうなんだ気を付けてね。で、奥さんはどこ?」「私のミニパトに乗っています、あそこです。」奥さんと見知らぬ男性だった。登山仲間だと思うが、、強い違和感を感じた。

その後方針が変わり、妻を自宅まで送り届けたのは遅れてやってきた本署の自動車警ら係のパトだった。

約2週間後、ふたたびH岳で「山岳遭難が発生した。学生のグループが登山中、一人が体調不良を訴えて先に単独で下山していった。夕刻になって仲間も下山した後、彼に連絡したのだが返事がなく、まだ帰宅していないと判明したことから警察に遭難事案として通報することになり、まだ帰宅していないと判明したことから警察に、遭難事案として通報することになり

それを受けたYさんは日も落ちかけた薄暗い空の下、山中の捜索に出ることになった。

H岳のある地域には複数の駐在所があり、Yさんは別の駐在所の警部補と合流後に1台のミニパトに乗り合わせて捜索に出た。

だが、指令を受けてから、ずっと頭の中に「先日滑落事故があった、あの付近に行かねば」という考えが浮かんで離れなかった。

だが、滑落事故の現場は、今回遭難事案のがあった登山ルートとは全く違う場所であり、地形から考えても付近に遭難者がいるとは考えにくいはずである

それでもなぜかほかの場所に行く気が全く起きず、まずはそこに行かねばならないという思いで頭がいっぱいになっていた。

「遭難現場付近ではすでに別の駐在所のミニパトや、本署のパトが捜索に行っているので、自分たちは少し離れたルートから見ていきませんか?」

そう提案し、警部補も了承してくれたことから、二人はミニパトの赤色灯を回転させながら、先日不思議な体験をした滑落現場付近へと車をすすめた

「聞こえたら返事をしてください。捜索に来ました!聞こえたら返事をしてください!」

夜の静けさを切り裂くように車載マイクの呼びかけが、山中にこだまするも何も聞こえてはこない。

二人がほんの少しの音も聞き逃さないようにミニパトの窓を開け、ゆっくりと走行していると

ぽつり、ポツリと雨が車体に車体に音が聞こえて来た。

「まずいな・・・」山中の雨は低体温症を引き起こす原因となる。

実際警察官が山中で行方不明者を捜索し、発見するもすでに亡くなっていたというケースの場合、雨に降られて体が濡れたことにより、低体温症が死因であることが非常に多いのだ。

最悪の結末が頭をよぎり、早く見つけださなければと少し焦り始めたその時

おーーーい…微かに、明らかに虫や動物とは違う声が聞こえた気がした。慌ててブレーキを踏み、声が聞こえてきた気がする森の奥へと耳をすませたが

―もう何も聞こえない。降り注ぐ雨音が響くのみである。

今聞こえましたよね?声!!

「え?ホント?なにも、聞こえなかったけど」

「いえ絶対聞こえました!これ、近いですよ!」

音量を最大まで上げ、再び車載マイクで幾度も幾度も呼び掛けていると

「お___い」

聞こえた!!

今度は二人ともその声を聴いた。目を丸くして、興奮しながら声が聞こえる方向へと車を走らせたところ数十メートル先の斜面の先で、倒れている男性を発見したのである。

斜面から滑落したときに負傷をしたのか東部から出血が見られたが、意識はなんとかあるようだ。

Yさんたちはすぐに臨床尋問を開始した。

するとやはり、この人物遭難した本人で間違いなく、近道をしようと登山道を外れて、森の中を進んでいたが、道がわからなくなり、訳が分からず進んでいると

足を滑らせて落ちてしまった。という事が判明した。

男性をすぐさま、ミニパトまで運び、無線が通じる地帯まで車を走らせ、遭難者発見の一報を本署に入れ、男性はそのまま救急搬送された。

Yさんたちの迅速な発見救助により、この事案は解決となった。

しかし、どうにも腑におちない

なぜまた、あの場所に行きたくなったのか

雨音が響く山中で数十メートル先にいる遭難者の消え入りそうな声がなぜ聞こえたのか

―いくら考えても答えは出ず、奇妙な気持ちを抱えたまま、この事案は解決となった。

その、わずか数日後

その日は午後からの時差出勤となっていたため、午前中は自宅でゆっくりと過ごしていたのだが、また、あの感覚が体を支配し始めたのだ。

「あそこに行かないと・・・」

無性に管轄地域内のある地区に行かなければという気持ちで心が一杯になり、どうにも気持ちが収まらなかったため、勤務開始前ではあったが制服に着替えてミニパトでその地区に行くことにした。

いざミニパトに乗ろうとすると警電がなった

かけてきた相手は隣接署の駐在所に勤務している知り合いの警察官だった。

その警察官が言うには、向こうの警察管内で農機具窃盗犯が逃亡したらしく、行方が分かっていない。

Yさんの警察管内でもときどき農機具窃盗があったため、

POSTED COMMENT

  1. いでのえつこ より:

    9月になり、まだ暑いけどお元気で変わりありませんか?

    • おがわまり より:

      いでのさん かわりないよ 見てくれてありがとう 今、主人が帰ったので、また書くね
                              

      • おがわまり より:

        おまたせです。あの時のサンシャインシティの仲間は、最近は会ってないです。時々懐かしいなと思いだしていたところです。最近思い出していたところよ。元気でブログを1年間習ったので、今はブログを書いているの。先生にもあってないよ。
        今は南海トラフ巨大地震が起こる前と、よく言われているので、緊張しているよ。とにかく、巨大地震が来る話題のほうが多いみたい、なるようになるしか、いいようがないね???
        いでのさんはどうしていますか?

    • おがわまり より:

      年を取ったから、体の衰えを感じます(笑い)老化に慣れるようにしてます。猫たちが4匹いるし、世話していると若返る気がします。この子たちが死ぬまで生きると言っていますよ(笑い)井出野さんも、元気で長生きしてね!私からも連絡しますね!おやすみなさい

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