コロナウイルスとの共生

手続きが煩雑すぎる雇用調整助成金

多くの企業が断念する現実

「世界でもつとも手厚いレベルまで特例的に引き上げます」「雇用助成金」上限を1日当たり1万5000円にひきあげると発表した。

この記事を読んだとき、そういえば言っていたなあと、記憶によみがえってきた。美しい国日本の続き~か。。。

この助成金は企業が社員を休業させたときに支払う「休業手当」を雇用保険から補助する制度で、従来は1人あたり1日8830円が上限だったから、ざっと2倍に引き上げることになる。

「これで休業手当がアップする」そう、ぬか喜びしているサラリーマンは多いのではないか。

だが、ことはそう単純ではない。雇用調整助成金はあくまで会社に渡される金だからだ。社会保険社労士の北村庄吾氏がかたる。

「企業が従業員を休ませた場合、給料の6割以上の休業手当を支払う必要があります。雇用調整助成金は支払った休業手当の一部を後で企業に補填する制度ですから、社員がもらう手当が増えるわけではない。

中小企業の休業手当は6割ギリギリのところが多い。助成金の上限額がひきあげられれば、休業手当を給料の7割や8割に増やすこともできるように思うかもしれないが、現実には中小企業の多くは資金繰りがくるしく、後払いの助成金をあてにして、休業手当をあげる余裕はないのが、実情です。

しかも、助成金の申請手続きが複雑だ。ハローワークに提出しなければならない書類だけでも、「休業実施計画」「教育訓練実績一覧表」から、労働者代表との「休業協定書」、社員全員のタイムカードや、賃金台帳など12種類にのぼる。

「中小企業の経営者が作成どころか見たことのない書類も多い。飲食店など零細業者には、タイムカードや賃金台帳、就業規則がないところも珍しくありません。それを一から作成して出すのは何か月かかるかわからない。書類の段階で申請を断念するケースが多い。

政府はこの雇用調整助成金をどんどん拡大し、コロナで苦境におちいった企業やその社員に、大盤振る舞いをしているが、これだけの書類をださないと受理されないことは、見せかけだけで本気で支払うつもりはない証拠だろう。

 

金額だけは「世界でもっとも手厚い」が、実は世界でも稀なもらえない助成金なのだ

週刊ポスト2020年6月5日号より  北村庄吾さん

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